新三田店 店長 笠井美香(Kasai Mika)

アルバイトで王将に惚れこんで入社。
…けれど「女の子」という壁が待っていた。

アルバイトを始めた頃は、イヤだったんです。オーダーを通す大きな声、鍋を振る音が鳴り響き、みんな威勢がよくって、ちょっと荒っぽい…そんな雰囲気に馴染めなくて…。けれどみんなで遊びに行くようになり、仕事を任されていくうちに、いつの間にか楽しくなっていた。仲良くなり何でも言えるようになると、社員の人と口論もしました。「アンタの何がエライねん!」と言い放ったり…それくらい熱くなれる場所だったんでしょうね。
「そんな日々が続くなら…」と正社員として入社。いざ違うお店に配属されて衝撃を受けました。アルバイトで親しんだお店とまるで雰囲気が違ったんです。様々なルールがしっかり徹底され、お店もピッカピカ。「店長が違うとここまで変わるのか」と驚きましたね。ノリと勢い重視のお店で育った私には、息苦しいくらいのカルチャーショックでした。さらには「社員になったら、厨房で働ける」と思っていたのに、同期の男子たちがどんどん厨房の仕事を覚えていくのを横目に、私はずっとホール担当。当時、王将に「女性店長」はほとんどいませんでした。「鍋を振りたい!」と言っても「女の子が火傷したらどうする!」と握らせてくれない。それが悔しくてアルバイト時代の社員さんと飲みに行った時「もう辞めたいです」と打ち明けました。するとあちこちから引きとめられ、「ホンマに鍋振る気があるなら来い。ウチの店で面倒みたる!」と引き抜いてくれる店長まで出てきたんです。

鍋振り、店長を経験し
「守られていた」ことに気づく。
今度は、私が仲間を守り、王将をつくりたい。

いざ鍋を振ってみると「重い…」。『軽鍋』と呼ばれる2~3kgのものを使っても腱鞘炎。火傷もした。それでも振り続けた。ちょっと弱音を吐くたび拾ってくれた店長が「お前、結局『女』を楯にするんか?」と焚き付けてくれた。練習の日々を重ねるうちに、ある日、急に鍋が嘘のように軽くなった。理由は今でもわかりませんが、コツをつかんだのだと思います。でもその一年間は、本当に楽しかったんです。
そこから副店長になり、さらには店長まで任されるようになりました。今度は自分に必死なだけではダメ。スタッフのみんなをどう盛り上げていくのか、という立場ですから。そこからは先は、あまり私個人のことについて覚えていないことの方が多いんです。「自分より先にスタッフのことを考えろ!」と教わったまんまを素直に実践していた(笑)。同時に、店長になって初めて「自分で何でも決めて行動していく」ことの重さを感じるようになりました。すると、今までいかに私は周りに守られてきたのか、その上でどれだけ好き勝手を言ってきたのか、そんな“かつての甘ったれた自分”を冷静に振り返ることができるようになりました。
後輩の女子社員が忙しさのあまり「こんな店、もう辞める!」なんて言ってきたこともありました。それでもじっくり話せば、一緒にお店づくりに立ち向かってくれる頼れる右腕のような仲間に変わりました。人もお店もここでは本当に自分次第。家族のように愛して接すれば、何でも変えられるんです。この先は、「本当に心のこもったおもてなしができる王将」をめざし、頼れる仲間を守り、育てていきたいです。